もはやOJTは時代遅れ?人材育成のキホンとは

現場の人材育成はOJTだけ?

人材育成といえば現場で先輩や上司についてOJTで行うものという常識があります。入社したばかりの新人に座学での研修を行ったらあとは現場に配属して上司が実際の仕事をしながら教える。多くの職場ではOJTが当たり前のように行われています。

わたしが勤めている会社では新卒採用をしています。4月に入社して半年間は社会人としての基本、業務や業界・商品知識などの研修を行い、ひと通りの基礎知識を身に付けたら現場に配属となります。主に営業部に配属されるので、まずは先輩社員や上司と一緒にお客様を回り営業のスキルを学びます。

営業だけでなくOJTで人材育成を行う現場は多いでしょうが、現場で教える側、つまり先輩や上司の側で課題を感じている人もいるはず。

OJTの何が問題?

座学やマニュアルでは現場の仕事を身に付けるのは難しいものです。OJTには実戦を通じて現場のノウハウを学べるというメリットがあります。現場での人材育成の方法がOJTしかないという会社も多いようです。課題を感じる人がいるというというOJT、いったい何が問題なのでしょうか。

わたしの会社では現場でのOJT以外に具体的な業務や営業を教えるためのマニュアルや育成のノウハウがありません。そうなると新卒の育成はOJTのために付いた先輩や上司次第です。良い上司に恵まれれば良い教えを受けられますし、そうでない上司であれば育成状況もそれなり。会社の重要な取り組みであるはずの人材育成の品質に大きなムラが生まれてしまいます。

OJTそのものにはメリットはありますが、わたしの会社のようにOJTだけに人材育成を頼っていることが問題なのです。

OJTには限界がある

なぜ人材育成をOJTに頼ってはダメなのでしょうか。それはOJTは人材育成という会社の経営に直結した課題なのに現場レベルに任せてしまっているからです。

会社にはビジョンや経営理念などの「なぜこの会社が存在しているのか?」という存在理由と会社が事業を行う目的を明確にしたものがあります。多くの会社ではビジョンや経営理念は単にお客様に貢献するなどといったありきたりな内容で、社員の行動の基本にまで落とし込まれていません。まして現場レベルのOJTではこれらのことは反映されません。

実際わたしの会社では会社のビジョンはありますが現場に配属されてOJTで研修を受けたメンバーたちの仕事ぶりからは会社のビジョンは感じられません。

そして今ビジネスの現場では変化のスピードが早くなっています。働く人の価値観が多様化し労働人口が大幅に減少していく。ITやAIの進化によってビジネスが大きく変わろうとしています。そんな中で短期的に成果を求められる現場に人材育成を丸投げしていては広い視野に立って物事が考えられるような高度な人材を育成することはできないのです。

理想的な人材育成とは?

ではどのような人材育成が理想的なのでしょうか?その前にどんな人材が理想的なのかを考えてみましょう。

多くの企業では採用したいもしくは自社の従業員になって欲しい人物像に以下のようなものを挙げています。

  • 自分の頭で考えて自律的に行動できるひと
  • 積極的に物事に取り組めるひと
  • 様々な変化に対応できる柔軟な発想を持っているひと
  • 周りのメンバーとうまく仕事ができる協調性を持っているひと
  • 仕事の問題点や課題を放置せず改善ができるひと

企業はこのような人物像を求めているのに人材育成の取り組みがOJTに頼っているのです。OJTはあくまでも現場の実務を教える手段なのでこのような人物を育成するものではないのです。自社のメンバーをこのような人物に育成するにはOJTだけでは足りません。OJTを含めてトータル的に全社の取り組みとして人材育成を考えなければなりません。

会社や業種、職種や育成したい社員のスキルレベルなどによって育成内容の細かな内容は異なりますがまず人材育成のベースとして次の項目を考えましょう。

自社が求める人材はどんなひと?

自社ではどんな人材を求めるのか、どんなスキルを持つべきなのか。経営層や現場のマネジャーにヒアリングして自社の求める人物像を整理しましょう。

ヒューマンスキルを身に付けるための取り組み

ヒューマンスキル、すなわち対人関係能力は非常に重要なスキルです。自分や他人の感情を理解して行動することでヒューマンスキルを高めることができます。また所属している会社や部門、チームなどで自分がどのような位置にいて周りのメンバーがどのような役割があるのかを理解することもヒューマンスキルを高めるポイントです。最近企業で重視されてきているヒューマンスキルでこれまではマネジメント層に特に求められてきましたが一般社員もこのスキルを身に付けることで周囲のメンバーとうまくチームワークを発揮してより大きな成果が出せるようになります。このスキルを高めるための取り組みを自社の人材育成プログラムに組み込む必要があります。

自社の経営理念やビジョンをきちんと理解させる

経営理念やビジョンをきちんと理解することが人材育成のスタートといっても過言ではありません。目の前の仕事はすべて経営理念やビジョンを達成するための取り組みだからです。目の前の仕事の全てはビジョンを実現させるためのものです。仕事に迷ったら経営理念やビジョンに立ち返り時には軌道修正する。そのためには経営理念やビジョンをしっかりと現場のメンバーが理解する必要があります。人材育成プログラムには必ず自社の経営理念やビジョンを伝えることを組み込みましょう。なぜその経営理念やビジョンが設定されたのか背景などがストーリーとして理解できるようにするとより効果的にメンバーに浸透させることができます。

このように人材育成には全社的な視点が必要です。そして会社のメンバーとして必ず持つべき経営理念やビジョンを共有し日ごろの仕事がすべてこの経営理念やビジョンを実現するためのものであるという意識を持つことが重要です。人材育成は現場任せOJT頼みにせず、トータル的に考えなければなりません。