多すぎて選べない、選択のパラドックス

選択肢がたくさんあっても人は幸せにならない

「選択のパラドックス」、米国の社会心理学者バリー・シュワルツ博士の著書のタイトルです。

選択肢が多いということは自由度が高いことを意味し、自由度が高ければその分人類は発展するというのがこれまで信じられてきた定説でした。しかしIT化やグローバル化が進んだ現代社会では選択肢が膨大な数にまで増えてしまい,、時には人を不幸にしてしまう恐れがあるといいます。

選択肢の多さは無力感を生む

あまりにも多くの選択肢があると人は選ぶのが難しいと無力感を感じ、結局何も選べなくなってしまいます。

例えばいま加入している医療保険を見直そうかと思ったとき、加入している保険会社に問い合わせをしたらもっと良い保険のプランを30パターンも持ってきたとします。こんなに多くのパターンを提示されてしまうとどれを選んでよいかさっぱり分からなくなってしまいます。そして保険の見直しを先延ばしにしてしまい、結局なにも変えないままになってしまうのです。

選べても不満

何とかして無力感を乗り越えて自分なりに数ある選択肢からひとつ選び出したとします。でも結局その選択肢に人は満足できないのです。

自分の選択を後悔してしまう

たくさんの選択肢から自分の意志で選んだものがどうしても完璧だとは思えないのです。もっと良いものを選べたのではないか、せっかく選んだ選択肢は悪くないのに。なぜか後悔してしまいます。

他の選択肢が良く見えてしまう

選択肢が多いと自分が選ばなかった選択肢の方が良かったのではないかと思ってしまうのです。サラダのドレッシングを選ぶとき、自分が選んでない方の味が実はおいしいのでは?あちらの方が今日のサラダには合ったのではないか?などと後から考えてしまいます。

選択肢が多いと期待値が上がる

選択肢がひとつしかないとき、人はたいして期待しないでしょう。なぜならそれを選ぶしかないから。ひとつしかないので他との比較もできず、その選択肢が良いのか悪いのか評価できません。だからたいして期待もしないということです。でも選択肢が100も200もあったらどうでしょうか。何だかとたんに自分にピッタリのものが見つかりそうな気がしてきます。でも期待していたものと実際に買ったものを比べると期待値が高かった分満足度は低いものになってしまいます。

間違った選択は自分のせい?

選択肢がひとつしかなく、それを選んで満足できなかったらそれは誰のせいでしょうか。私たちは自分のせいにはしないはずです。選択肢をひとつしか用意しない店が悪い、メーカーが悪い、商品が悪い、世の中が悪い、と考えます。

でも選択肢がたくさんあるなかで、選んだ商品に不満があったら誰のせいでしょうか。もっとほかの商品を選ぶべきだった、それを選んだ自分が悪い、と自分のせいにしてしまうのです。新しい商品を買って客観的に見ると生活の質は上がっているはずなのに不満が募り気持ちは最悪の状態になってしまうのです。

お客様に余計な選択肢を与えるのはやめよう

これまではお客様のためを思っていろいろなパターンで提案することがありました。たくさんの選択肢を見せて、ぜひお選びください!と。でもお客様は結局自分ではどの商品がどう良いのか良く分からなくなってしまい、選ぶことをあきらめたり選んだあとに後悔してしまいます。

お客様に商品を提案するとき、「松・竹・梅」の異なるグレード3パターンを提案する手法は昔からよく行われてきました。これは意外と理にかなっているかもしれません。お客様に選択肢を与えるときは2つ~3つぐらいまでにします。必要以上に期待を持たせないように、選んだあとも他の選択肢が気にならないように気を付けましょう。それぞれの選択肢に対し理解し納得を持って選ぶように仕向けることで、お客様の満足度が上がるのです。