クリティカル・シンキング、問題の本質を見極める

クリティカル・シンキングという言葉は社会人であれば誰でも聞いたことがあるでしょう。英語で「Critical Thinking」、日本語に直訳すると「批判的思考」ということになります。日本語で批判的というとネガティブなイメージに聞こえるかもしれませんが、ここでいう「批判的」とは他人を批判・否定するという意味ではありません。クリティカル・シンキングとは、目の前で起きたことや得られた情報を鵜呑みにせず、「なぜそうなったのか?」「本当にそうなのか?」という疑問を持って客観的に分析し最適な判断を行うための思考方法のことです。

なぜクリティカル・シンキングが必要なの?

ビジネスにおいては判断の連続です。その場その時で最適な判断をする必要があります。そのためには目の前で起きていることだけで拙速な判断をしては判断を誤ってしまう可能性があります。いま持っている情報を客観的で多角的に分析しなければ適切な判断ができないのです。

ビジネスにおいてクリティカル・シンキングは重要なスキル

クリティカル・シンキングが重要と言われているのは日本だけではありません。世界的指導者や経営者が集まる「世界経済フォーラム」が発表した「2020年に必要なビジネススキル」のランキング2位になり、欧米でも注目されているスキルです。

クリティカル・シンキングの基本姿勢

クリティカル・シンキングを進める上で重要な3つの基本姿勢があります。日本にクリティカル・シンキングを広めた有名な書籍「グロービスMBAクリティカル・シンキング」からご紹介します。

1.目的は何かを常に意識する。
思考を始める前にそもそも何のために思考するのかを考える必要があります。目の前で起きていることに対して対処するだけではなく、根本的な課題を解決することが目的です。様々なことを考えていく上で常に課題は何なのか何のために考えているのはを意識しましょう。

2.自他に思考の癖がある事を前提に考える。
人は誰でも先入観や価値観の違い、常識だと思っていることなど、それぞれ考え方が異なります。自分の先入観にとらわれず客観的に物事を見るように意識しなければなりません。

3.問い続ける。
結論に至るまでに、なぜ?本当か?と疑問が尽きるまで問い続けることです。課題に対して表面的な部分だけでなく本質を見極めます。

クリティカル・シンキングを使うメリット

まず課題や目の前の事象に対してなぜなのか、本当なのかと深く考察するので、考察の対象についてより深く理解できます。目の前で起きていることだけを単純に考えるよりも何度もなぜを繰り返す思考法なので物事を表層的ではなく多層的に理解できます。

課題の本質を捉えて考察し結論を導き出すので、出した結論には説得力があります。ビジネスの上では課題解決はひとりではできないことが多く、他の部署の人や他社の人などさまざまな人を巻き込む必要が出てきます。その際に説得力がある結論を展開できれば協力を得られるでしょう。

課題の根本的な原因を突き止めるので、トラブルの再発防止や実効性のある対策になります。表面的で短期的な対処療法では一時的に課題が解決したように見えても再発したり根本的な解決にならないのです。そこでクリティカル・シンキングによって導き出した解決法により根本から改善することができます。

クリティカル・シンキングの進め方

1.課題を立てる。
まず課題を設定します。何が目的かを意識しつつ課題を設定します。ここでは目的を意識することがポイントです。目的と手段を履き違えるのは良くあることです。問題のある側面だけを切り取ってしまったり、問題の本質とはずれてしまうこともあります。

2.思考のフレームワークを使う。
課題はそのままでは複雑で大きいので深く思考しやすいよう分解します。分解にはフレームワークを使うのが良いでしょう。モレ・ダブリを防ぐことができます。

3.現状分析し把握する。
フレームワークによって分解したそれぞれの要素ごとに現状を分析します。このとき人は思考の癖があることを意識しましょう。先入観や決めつけは排除して客観的に物事をとらえます。また分析のもとになる情報を集める際にも偏りがないよう気をつける必要があります。正しい客観的なデータでないと適切に判断できないからです。

4.仮説を立てる。
現状が把握できたらそこから仮説を立てます。仮説とはどうしたらその問題が解決できるかということです。このとき本当にその仮説で問題が解決できるのかを問い続けます。立てた仮説の検証が難しいようであれば仮説が間違っているかもしれません。もう一度現状分析に立ち返ってみましょう。

5.実行する。
立てた仮説をもとに解決策を実行します。しかし実行して終わりではありません。実行してどうだったか、改善点はないかPDCAサイクルをまわしましょう。実行した結果をさらに検証することで新たな課題がでてくるかもしれません。

まとめ

目の前にある事象をそのまま真に受けたり、自分の経験や知識に基づいた思い込みや先入観などによって人はたびたび判断を誤ることがあります。クリティカル・シンキングの思考法を身に付けることで課題の本質を探り正しい判断を行うことができるでしょう。