「意思決定」できない意思決定者、マネージャーの仕事の本質は意思決定

「マネージャー」「部門長」のしごと

私たちにはさまざまな肩書きがありますが、「マネージャー」「○○長」など部下を持つ肩書きの人はどんなしごとをする人なのでしょうか。部下の育成?数字の管理?これらも大事ですが、マネージャーとメンバーの決定的な違いがひとつあります。それはチームの「意思決定」です。

意思決定とは?

意思決定とは、組織の中でいろいろな選択肢からひとつの適切なものを選ぶこととその一連のプロセス全体のことを指します。

会社での「意思決定」とは、会社という組織として、組織運営と組織に所属するメンバーの行動管理のもっとも基本となる部分です。組織では行き当たりばったりや何となくなあなあで物事を進めるということは許されません。

意思決定がされてる?されてない?

私が以前勤めていた会社では、役員や部門長にあまり主体性がなく明確な意思決定がなされないままビジネスが進むことがしばしばありました。行っていたビジネスそのものが安定していたためです。

業績が良くない年があったのですが、特に明確な手を打つこともなくとにかく現場にがんばれと言うだけ。役員のテーブルでは当然業績が良くないことは認識していたのですが信じられないことに何の手も打たなかったのです。

大きく2つ事業を行っていたのですが、事業間で顧客を共有せずとてももったいない状態でした。顧客データベースがそれぞれの事業にあり、顧客コード体系がまったく違うので顧客情報の名寄せができません。役員はそれぞれの事業を連携して営業をかけるようにと号令は出しますが、具体的な指示がないのでそれ以上先に進みません。

意思決定は普通は何かを決定することを指すのでしょうが、この会社では「なにも意思決定しない」という意思決定をしていたのでした。

意思決定が組織の主体性を生む

役員や部門長など、組織やグループを率いる人が意思決定せずにその下のメンバーに主体性は生まれません。

意思決定とは何かを決めるとともにその決定に対して責任を取るということです。組織のメンバーは上司が決めるのを待っています。上司の決定に従って現場の次の一手が決まり、その先に具体的なアクションを起こすのです。上司がなにも決めないのに現場のメンバーにばかり主体性を求めるのは筋違いというものです。まず主体性を持つべきは上司の方なのです。

主語がないからふわっとする?

日本語はとても便利なことばです。主語を省略しても意味が通じますし、ある程度ざっくりとした表現であっても何となく相手に言いたいことが伝わります。

「いい感じで仕上げてくれ」「うまいことまとめあげてくれ」などと上司が漠然とした物言いで部下に指示する場面が見受けられます。言われた優秀な部下は何となく行間を読んで物事を進めますが、成果が出れば結果論的に評価され、成果が出なければ命令が曖昧なのでなんとなくごまかされてしまいます。

上司は自分がどうしたいのか、どうなりたいのか、「私」を主語にして話をしなければ責任をもって指示が出せません。英語や中国語は主語が省略できない言語で、きちんと「私」を主語にビジネスをしますので、日本の感覚のままでは特に海外との仕事は進められないでしょう。

上司こそ主体性と当事者意識を

もしこの文章を読んでいるあなたが部下をもつなら、自分がまず主体性と当事者意識を持ちましょう。なにも決めずに漠然と組織やグループを運営するのは今すぐに止めよう。あなたが主体性を持てば自然に部下に主体性が生まれます。「うちの部下は主体性がなくて」と嘆いている上司は、まず自分自身がどうか考えてみるべきです。

売上が上がらないとき、景気のせいやお客様のせいなど、外的要因のせいするのは簡単です。でも本当にそうでしょうか。私たち自身にはまったく落ち度がないのでしょうか。人や何かのせいにする前に当事者意識を持ち自分たちの行動やスキルなどを見直してください。外的要因は自分ではコントロールできないものです。まずはコントロールできる自分のことを変えるべきです。