紙を捨てよう!いまこそペーパーレス

「ペーパーレス」この言葉は最近よく耳にされる機会が多いのではないでしょうか。働き方改革やワークスタイル変革の文脈で語られることが多い言葉です。でも実は40年以上前に生まれた概念だということをご存じない方も多いことでしょう。こんなに前からあるのになぜ全然ペーパーレスが進まないのか、なぜいま注目されどのように進められているのか見てみましょう。

ペーパーレスとは?

「ペーパーレス」とは読んで字のごとく、ペーパー(紙)をレス(もっと少なく)することです。ビジネスにおいては紙の文書・資料が大量に使われており、これをデジタルデータ化して紙をできるだけ減らそうという取り組みです。身近なところでは紙の書籍から電子書籍化が進む、年賀状から年賀メールに、電車の切符がICカードになどもペーパーレスの一環でしょう。ただここで言うペーパーレスは企業などで紙で運用されている各種帳票や資料をデジタル化すること、そしてデジタル化した情報を活用し情報共有の促進や業務効率化、紙の削減によるコスト削減や保管場所の軽減などを進める取り組みのことでしょう。

ここ数年、働き方改革の一環でペーパーレスが語られることが多いので最近の風潮のように思われるかもしれませんが、最初にペーパーレスが言われるようになったのは1970年代のことでした。パソコンがオフィスに普及し始めた頃です。オフィス・オートメーションによって紙で行っていた事務作業がコンピュータ化され自動化することで業務効率化が進むとされ、必然的にペーパーレスの概念が出てきました。

その後1990年代に入るといよいよどこのオフィスにもパソコンがあるのが当たり前になり環境問題への意識の高まりもあってペーパーレスの考え方が広まりました。ここまでは、ペーパーレスという言葉が生まれ広まりはしましたが、実際にペーパーレスは進みませんでした。日本ではビジネスの帳票や帳簿が紙で保管することが義務づけられていたことも広がらなかった要因でしょう。オフィス・オートメーションが広がることで複合機やプリンターも普及し、ペーパーレスどころか紙の利用は増えてしまいました。

2010年代に入ると高速インターネットの普及、モバイルPCやタブレット端末の高性能化と利用増、クラウドサービスの普及など、デジタル環境が整い多様化する働き方に対応し生産性を向上させようということで3度目のペーパーレスの波が来ました。これがここ数年のトレンドですね。

これまで何度もペーパーレスが叫ばれてきましたが、2006年ごろまでは紙の消費量が増加していました。2005年施行の「e-文書法」によって企業で使われる様々な文書の電子化が認められたことも要因のひとつでしょう。2007年ごろからようやく紙の消費量が減り始めましたが、世間でペーパーレスが言われているほど減っていません。IT化・デジタル化はどんどん進んでいるのに紙はそれほど減ってない、そんな状況です。

ペーパーレスのメリットとは?

ペーパーレス化を進めると現場ではどんなメリットがあるのでしょうか。まず一番分かりやすいのは紙やプリンターの消耗品などを節約できるのでコスト削減になります。環境負荷の低減にもなるでしょう。紙は1枚1枚ではたいしたボリュームではありませんが、会社で使う文書の保管となるとオフィス内に大きなスペースを取ってしまいます。ペーパーレス化によって保管すべき紙が減れば省スペース化となり、保管するための什器も減らすことができます。これらは紙によって生じる無駄を削減するという内容ですね。

紙の文書や資料をデジタル化することで、その内容には容易にアクセスできるようになります。情報の検索性が飛躍的に向上するので、これまではただ保管するだけだった情報をビジネスに有効活用できます。社内決裁など紙のやりとりをデジタルデータで行うことでやりとりのスピードが上がりますので業務効率化にもつながります。デジタルデータはどこからでもアクセスできますので、時間や場所に縛られることなく仕事を進めることができます。

会議の資料を会議のたびに参加人数分印刷しているケースもあるでしょう。これは何も生み出さない作業です。そもそっも会議の資料はデジタルデータなのですから、わざわざ印刷しないでデジタルデータのまま参加者が共有すればよいのです。紙資料作成の手間が大幅に削減できるほか、データを編集できる状態で共有できるソリューションを活用すれば会議参加者が会議を進めながら資料の修正ができ円滑に会議が進められるでしょう。会議の形がかわり大幅に効率アップします。

紙にもメリットはある

これまで見てきたようにペーパーレスを進めるとメリットがとても多くやらない手はないと思われるでしょう。それでも進まないのはなぜでしょうか。それは紙にもそれなりにメリットがあるからです。紙は液晶ディスプレイに比べると見やすく気軽にメモを記入したりその場で相手に渡したりといった紙ならではの利便性があります。デジタルデータではネットワークにつながらずに資料にアクセスできないというケースもありますが、紙にはそのような心配はありません。会議に参加する際にデジタルデータの資料をわざわざ紙に印刷して持ってくる人もいるでしょう。商談時にお客様に渡す資料としてどうしても印刷する必要があったりもします。このようにまだまだ紙にも紙なりのメリットがあります。

なぜいま改めてペーパーレスなのか?

40年以上前から言われ続けているにも関わらずなかなか企業に浸透しないペーパーレス。まだまだメリットを感じる人も多い紙。そんな中どうやってペーパーレスを進めたらよいのでしょうか。そしていまなぜペーパーレスが改めて注目されているのでしょうか。そのあたりを考えてみましょう。

まずなぜ注目されているのか。ここ数年政府も推進している働き方改革に関連している点が理由です。これまでのペーパーレスはどちらかと言うとペーパーレスはコスト削減が目的でした。紙を減らせば紙代・印刷代が減らせる、つまりコストが減らせるという内容でした。目的がコスト削減なのでどうやって紙を減らすかという方法論の議論に終始してしまいます。コストが減ったからと言って現場にメリットがあるわけではなく、紙を減らすことで代替のソリューションが必要で金銭的なコストがかえって上がってしまうといったケースもありそう簡単にペーパーレスが進まなかったのです。現場の立場からすると紙がなくなったからって何だっていうの?むしろ不便なんだけど?という声も出てくることでしょう。

これに対し最近注目されているペーパーレスはその目的が根本的に違います。働き方改革・ワークスタイル変革が目的なのです。つまりペーパーレスによる情報活用の促進や場所・時間の制約からの解放などで、「働き方の多様化への対応」「生産性の向上」「長時間労働の是正」の実現が目的です。コスト削減では現場の立場ではメリットが今ひとつピンときませんでしたが、働き方改革は経営層だけでなく現場にとっても喫緊の課題です。人手不足や長時間労働などで疲弊している現場、ただでさえ人が足りないのに売上は維持もしくは拡大しなければならない。そうなると少しでも無駄な仕事は止めたい、なくしたいはず。その流れで無駄な紙を削減しようという機運が高まったのです。

ペーパーレス、結局どうやって進める?

働き方改革は経営層、特に会社のトップが断行しなければうまくいきません。会社の様々な分野にまたがっており、現場任せで各部門や個人でできる改革には限度があるからです。そういう意味ではペーパーレスは部門・個人の単位でも少しずつできるのでオススメの取り組みです。会社の申請書や稟議書、領収証、契約書などは会社のオフィシャルな書類で法律も関係するので部門や個人で勝手にペーパーレスを進めるのは難しいでしょう。ここでは部門・個人単位でできる取り組みを2つご紹介します。

まずひとつ目は「会議資料のペーパーレス化」です。会議のたびに人数分の部数を印刷して束ねて配布する、資料に修正が入ると全部やり直し。これをぜひペーパーレス化しましょう。紙をなくして印刷コストが下がるだけではありません。資料作りの手間が減るだけではありません。資料作成の手間が無くなった分の時間と労力を別のもっとクリエイティブな仕事に回しましょう。紙に制限されなくなるので、会議そのものも変革できることでしょう。Web会議ツールを活用すれば離れた相手とも場所を選ばず会議ができます。このようなツールを使えば画面を共有したり資料を即座に編集しあったり、情報共有と会議での議論が深まります。同じテーブルで紙の資料をもとに会議をしていた時代では考えられない会議のスタイルです。

ふたつ目は「紙を保存しない」です。先ほど述べたように、紙にもメリットはあります。なんでもかんでも紙をなくすことは現実問題できないでしょう。商談や会議で他のひとから紙で情報を受け取ることもまだまだあります。これらの紙を保存しないという取り組みです。自分の手帳やノートに書き写す、スキャンして電子化する、紙をくれた人にデータでの共有をお願いするなどしてもらった紙は廃棄してしまいます。できれば当日中に廃棄してしまいましょう。会議資料のペーパーレス化は会議参加者に対しての根回しや合意が必要ですが、紙を保存しない取り組みは個人レベルですぐにでもできます。

まとめ

ペーパーレスをしようと思ったとき、まずはその目的を考えましょう。ただ紙を減らすことが目的ではなく、紙を減らすことでどんなメリットがあるか、生産性がどう変わるかを考えるべきです。また生産性を上げることが目的なので、場合によっては紙のまま行うこともひとつの選択肢です。紙を減らすことの本質は生産性の向上と働く上での制約からの解放です。こうしたことを意識し解決策を模索する中で必然的にペーパーレスを推進する。この流れで進めば今回のペーパーレスブームはやがて本当に紙が減るのではないでしょうか。