「戦力の逐次投入」はダメ、一気にカタをつけるべし

ちょっとずつ様子見は逆効果!

戦争において、相手の戦力が分からないので様子を見ながら少しずつ戦力を投入することはもっとも愚かな作戦だとされています。それが「戦力の逐次投入」と言われるものです。太平洋戦争で旧日本軍がガダルカナル戦で行った作戦が有名です。当時の旧日本軍はガダルカナル島における戦闘で、1万人以上の米軍に対して数千人の兵力で正面から突撃して負けてしまいました。この戦いで旧日本軍が敗退した原因は様々な要素が考えられますが、そのひとつが「戦力の逐次投入」なのです。

兵力が多ければ多いほどより有利

相手が分からないからちょっとずつ戦力を小出しにしても、偶然相手の戦力が小さければ勝てるかもしれません。でもそれは単に運が良かっただけの話。局地戦において真っ正面から敵とぶつかった場合、「武器効率×兵力数」で戦力が決まります。つまり戦力の差は兵力数の差が大きく影響します。

これは「ランチェスターの法則」と言われ、もともとは軍事戦略の考え方ですが日本では企業経営における競争戦略の基礎とされています。武器効率とは、敵に比べて持っている武器がどの程度優れているか、自軍の兵士がどの程度の練度なのかを数値化したもの。おおざっぱに言うと単純に兵力が多ければ多いほど有利ということです。敵よりも武器が劣っていても圧倒的に数が上回れば勝てるということです。

兵力差が2乗

局地戦や一騎打ち、真っ正面からぶつかるといった戦闘は現代ではあまり行われません。現代的な戦闘では兵器が高度化し、複数の敵を同時に攻撃する確率戦や広い範囲に渡って戦闘を行う広域戦、離れた敵を攻撃する遠隔戦によって行われます。先ほど紹介した「武器効率×兵力数」はランチェスターの法則の「一次法則」で、現代戦に対しては「二次法則」があります。

ランチェスターの法則の二次法則では「武器効率×兵力数の二乗」で戦力が決まります。つまり現代戦では兵力数の差がより一層戦力に重大な影響があるということです。同じ武器効率であれば、500人の兵力数と750人の兵力数の差は、兵力数は1.5倍の差ですが最終的な戦力はそれぞれ250,000と562,500で2倍以上の差が付いてしまいます。

兵力を小出しにする戦力の逐次投入をしてしまうと、二次法則の場合兵力数の差以上に戦力差ができてしまい、相手の戦力がほとんど削られずに自軍だけが全滅ということも考えられます。

圧倒的に差があるときはどうしたらいいの?

一次法則であれ二次法則であれ、兵力数の差が戦力の差になるということは兵力数が劣る場合、そもそもすべての兵力をもってしても勝てないということになってしまいます。戦力の逐次投入どころか全兵力でも勝てないのです。ではそんなときはどうしたら良いのでしょうか。

答えは意外と簡単です。選択と集中、自軍の全兵力を敵の弱点に一局集中させることです。数の上で不利なのに二次法則に従った戦い方をしてしまうと絶対数以上に不利になってしまいます。つまり一次法則・二次法則、どちらの戦い方が良いのかを見極めて戦い方を考える必要があるのです。数が不利でも武器効率を兵力差以上に上げることにより戦力で敵を上回ることができます。局地戦に持ち込んで兵力を集中させれば、その局面での兵力数を上回ることができます。

ビジネスでも活かせるランチェスターの法則

ランチェスターの法則はビジネスでも応用できるものです。自社の商品やサービスがそのカテゴリにおいてトップでない場合に有効です。業界トップでない場合や大手と比較して自社の営業リソースが足りないような場合、二次法則によって幅広く大きな戦いを挑んでしまうと実際の営業リソースの差以上に戦力の差がついてしまい勝ち目がありません。

自社の限られたリソースをうまく活用するには一次法則、つまり局地戦に持ち込むことが有効です。つまり「差別化戦略」です。自社の商品やサービス、人材などの質的な独自性や優位性で他社と差別化を図り競争に勝つことが差別化戦略です。この戦略の重要なポイントは2点あります。

  1. 局地戦や接近戦などの部分的な競争に持ち込むこと。
  2. 武器効率、つまり人材育成や商品・サービスの品質向上など質的な優位性を高めること。

大手企業には量で勝てないので、全体的・総合的な競争に巻き込まれないよう気をつけることが重要です。やみくもに営業をかけたり中途半端なお金をかけて小さなキャンペーンを打つなど、兵力を小出しにするような戦い方も禁物です。

一次法則においての戦力の差は「武器効率×兵力数」。自社のリソースを増やすことはそうそうできるものではありません。そこで重要なのが武器効率を高めることです。ロープレなどを通して営業力を強化する、お客様の声を開発部にフィードバックすることで商品の質を高めるなど。競合他社と差別化する上で特に重要です。

このブログをご覧の皆さんは大手企業でもなければ業界トップでもない場合がほとんどだと思います。そんなとき、どのように自社の販売戦略を立てればよいか参考にしてみてください。