変わりたい変わりたくない「現状維持バイアス」

現状を打ち破りたいけど・・・

  • 「いまの会社、全然面白くないし給料も安いから転職したい」と思っているけどなかなか転職に踏み切れない。
  • 「英語の勉強しなきゃなあ」と思いながらもいつまでたっても勉強が始められない。

この2つの例、私たちの周りでありがちな内容です。会社に不満があるのに転職に踏み切れない、勉強したいのにできないのはなぜでしょうか。

分かってはいるけど変えられない

私たちは現状のままでいることよりも変化するほうがリスクがあると感じてしまい、現状のままでいるほうを無意識に選んでしまうのです。無意識ってとても強いので、頭では分かってるのになかなか行動に出られないのです。

私たちが無意識のうちに現状の方がリスクが低いと感じてしまうのはなぜでしょうか。

転職しても転職先が良いとは限らないし、ひょっとすると今の会社よりもひどくなるかもしれない。英語の勉強を始めても上達するとは分からないから英語塾の費用や学習にかかった時間が無駄になるかもしれない。こんな風に考えてしまうと、アクションを起こして失敗するリスクより今のまま何も変化しない方がリスクが低いと判断してしまいます。

これを行動経済学では「現状維持バイアス」と言います。バイアス(bias)は英語で、先入観や偏り、認識の歪みといった意味があります。現状維持バイアスは、「必ずしも現状維持が最善の選択というワケではないのに現状維持を選択してしまう認識の歪み」ということです。

現状維持バイアスはビジネスに活かせる

現状維持バイアスって、無意識レベルで人の行動に影響する思考なのでビジネスに活かすことができればとても強いと思いませんか?実際にいろいろなビジネスを見てみると現状維持バイアスを応用しているものがあります。

月額払いの会員制サービス

いまサブスクリプション型のビジネスが増えています。月額の費用を払い続ければサービスを使い続けられるというものです。これまでの売り切り型ビジネスでは販売者は売って終わり、継続的な収益は見込めませんでした。販売者側には継続的な収益が見込めるというメリットがあります。そして一度契約してしまうと、あまり使っていなくても何となく契約を継続してしまうひとも多いのです。

乗り換えのお客様向け割り引き

一度使い始めた商品やサービスは、よほどの理由がなければ変えようとは思わないものです。これは典型的な現状維持バイアスです。それを打ち破るために、競合サービスからの乗り換えのお客様には一定期間無料や半額など、誰の目にも大きなメリットに見えるようなキャンペーンを打ち出します。現状維持よりも何倍も大きなメリットがあれば乗り換える動機になるかもしれません。競合サービスとの差がほとんど無いようなサービスでは有効な手段でしょう。

オンラインショップでの購入者にDM配信

オンラインショップに会員登録したり購入したりするとそのお店からダイレクトメール(DM)が来ることがあります。購入画面にDM配信可否の選択肢があり多くのお店では配信ONになっているでしょう。そしてお客様はDMをほとんど見ていなくても受け取り続けます。DM配信の母数が多ければ購入してもらえる数が増えるかもしれません。

現状維持バイアスは逆手に取れば強力な武器

ひとの深層心理に根深く存在する現状維持バイアス。お客様がすでに競合する製品を使っていたり競合他社から購入している場合は現状維持バイアスによって乗り換えが難しくなってしまいます。よほど今使っている製品や購入先に困っていなければ乗り換えることはないでしょう。

でもこれを逆手に取ることで、自社製品や自社から購入頂いているお客様との関係を適切に維持することで、競合他社が入り込む余地をなくすことができます。しかも無意識の領域に影響するのでとても強力にお客様をガードできることでしょう。