フロー型ビジネスとストック型ビジネス

ビジネスで収益を上げる方法として大きく分けて2つの考え方があります。それはフロー型とストック型です。それぞれどのようなビジネスの形態なのか見てみましょう。

フロー型のビジネスとは?

フロー型とは、お客様が必要になったその時その時で商品を販売したりサービスを提供したりするビジネスです。例えば飲食店、美容室、コンビニ、家電量販店などです。売上の増減があり、近隣に競合店ができると顧客を奪われたりビジネスが安定しません。販売単価や利益率が高いビジネスもあり、短期間でそれなりの収益を上げることも可能ではあります。

商品やサービスを提供して取引が終わるという売り切り型とも言えるでしょう。

ストック型のビジネスとは?

一方ストック型は仕組みやプラットホームを作りお客様が継続的に利用し続けることで収益も継続的に入ってくるというビジネスです。例えば不動産賃貸、公共料金、新聞の定期購読、レンタルサーバなどです。

初期導入費用つまりイニシャルコストが低いことがお客様のメリットなので裏を返すとスタート時は収益が低く、売上が積み上がるまで時間がかかります。ただしいったん収益が積み上がると定期的にお客様が利用料金を払い続けるので収益が見えやすく経営が安定するのが特徴です。

しかしビジネスの仕組みやプラットホームはそう簡単に作れるものではありませんし、ビジネスが軌道に乗るまでは収益が低く、ある程度まとまった資金がないと続けるのが難しいという側面もあります。

フロー型とストック型は収益のタイミングが違う

フロー型のビジネスでは売り切りの商品やサービスを取り扱うので売ることに最大限のリソースを投入します。その分お客様へのアフターフォローはコストになりますのであまり重視されません。売上がダイレクトに収益、つまり「売上=収益」なので商品やサービスを売ることが最重要となります。

ストック型のビジネスでは継続的に利用し続けてもらうことで売上が積み上がりますので、売ることよりもお客様をフォローし続けることが重要です。 ストック型のビジネスでは「売上=収益」ではありません。継続的に利用してもらうことで収益が上がるのでその都度の売上単体だけ見ては収益が低く採算が合わないのです。つまり「継続利用=収益」なのです。長く使ってもらうほど売上が蓄積し収益が上がる仕組みです。

フロー型のビジネスをストック型に転換できるのか?

フロー型のビジネスでは商品が売れさえすればそれなりの売上になりますが、商品が売れなければ収益はまったく無くなってしまいます。これでは収益が安定しませんのでフロー型のビジネスをどうにかしてストック型に転換できないか考えてみたいと思います。

雑誌は書店に行けば最新号が単体で販売されていますが、年間定期購読すれば毎月届けてくれる上に少し値引きが入ったりします。これは昔からあるフロー型商品のストック型への転換のよく知られている例でしょう。

あまりストック型のイメージがないビジネスで言えばコーヒーショップが月額の会員制で好きな時に好きなコーヒーが飲めるストック型に転換した例があります。 このようにモノの販売などこれまではフロー型に分類されるようなビジネスであっても工夫次第でストック型を取り入れることができます。

ストック型ビジネスはサブスクリプション型

ストック型ビジネスは最近では「サブスクリプション型」とも言われます。利用した分だけ課金するという点でストック型もサブスクリプション型もほぼ同じ意味です。ストック型には積み上げ型というニュアンスを含みますのでどちらかというと売り手目線のことばですね。

サブスクリプション型のビジネスは継続的に利用してもらうために様々な工夫をこらしています。月額料金だけ払わせてお客様が使わない状態が最も収益が上がりそうな気がしますが、現実的にはそうではありません。

米国のオンライン動画配信サービス大手Netflixは自社サービスを利用している顧客の分析から、利用頻度の低い顧客は解約率が非常に高いことを明らかにしました。あまりサービスを使わない顧客はサービスに価値を見いだせず結局解約してしまうということです。このためNetflixは様々な手を使って顧客に使ってもらおうと工夫しています。たとえばウォッチリストや視聴履歴などから顧客がどんな映画に興味があるかを分析しユーザーごとに興味のありそうな映画を一覧表示に出すようにしています。

サブスクリプション型は顧客目線

売り切りのフロー型のビジネスでは売り手中心のビジネスと言えます。売り手からするとお客様に買ってもらうまでが勝負だからです。どうにかしてお客様に買ってもらえればそれで終わりです。誰でもいいから買ってさえもらえれば良いので同じお客様に継続的に買ってもらうという意識は弱いのです。

一方ストック型、サブスクリプション型は買い手中心のビジネスです。お客様に利用してもらってもすぐに解約されてしまっては収益になりません。そのためできるだけ長く利用してもらうためにはサービスの品質を向上させたり機能をアップさせたりお客様の要望に合わせてサービスを進化させます。

単に売り手側の収益の安定性だけを考えてストック型を取り入れようと思ってもうまくいきません。フロー型以上にお客様がどんな要望をもっているか、自社の商品やサービスにどんな期待をもっているか、お客様の立場に立って物事を考えなければなりません。

世の中の消費の流れが所有から利用へと変化しシェアリングエコノミーがブームになりつつあるなか、これからはフロー型のビジネスをいかにうまくストック型に転換するかが今後のビジネスのカギになるでしょう。